アップルも見学に来たという新潟で創業した日本、いや世界を代表するアウトドアメーカーの2代目社長が執筆した初めての著書
この本を読むべき人
- 中小企業や個人事業経営者
- 自社の日々の仕事に追われて理想を見失っている人
会社経営とは理想に燃えて創業しますが日々の繰り返しの中で創業当時の理念や方針がどんどん薄れていくものです。
この1冊の本は事業の目的とは何か?を改めて考えさせてくれる良書です。
「真北の方角」に進み続ける
かつてオートキャンプブームを作りそのブームに乗って業績を拡大した後ブームの終焉とともに売り上げが急降下したスノーピークさん。
そこである社員の一言で始まった「スノーピークウェイ」
顧客と直接対話が出来るスノーピーク主催のこのキャンプイベントで固まった「ミッション・ステートメント」
スノーピークミッション・ステートメント
私たちスノーピークは、一人一人の個性が最も重要で有ると自覚し、
同じ目標を共有する真の信頼で力を合わせ、
自然志向のライフスタイルを提案し実現するリーディングカンパニーをつくり上げよう。
私達は、常に進化し、変化し革新を起こし、時代の流れを変えていきます。
私達は、自らもユーザーであるという立場で考え、お互いが感動できるモノやサービスを提供します。
私達は、私達が関わる全てのものに良い影響を与えます。
理念経営と口で言うのは簡単ですが本当に実現出来ている企業はごく一部です。
スノーピークさんは社長自身がスノーピークウェイで直接ユーザーのテントまで行き一緒に酒を飲み翌日には紙飛行機大会で一緒に紙飛行機を飛ばす。
というユーザーにバレバレな経営で愚直にユーザー目線での経営を続けてきました。
数年前には本社を新設しました。
5万坪の敷地の中にキャンプ場があり、テントサイトがあり社長自身が年間50~60泊はするという生粋のアウトドア企業です。
まさに自分に適した経営をする事で顧客との約束を果たす企業と言えます。
仕組みの力で経営する
しかしスノーピークさんをアウトドア大好き人間達の集まりだと思ってみるとこの企業の本質を見誤ります。
スノーピークさんの企業の本質は、
徹底したアウトドアユーザー目線からスタートし事業全体を仕組みで経営する
という点にあります。
ロマンとソロバンがガッチリタッグを組んでいる訳です。
著書の178ページには社長室の本棚の写真が掲載されていましたが「ブランドエクイティ戦略」・「利益が見えれば会社が見える」・「サムウォルトン」・「明治という国家」・マイケルサンデル教授の「これから正義の話をしよう」等全くアウトドア色の無い書籍が並んでいました。
人の感覚的な部分を数値化しそれを全社体制で方針に合わせて仕組みで実現する。
そんな絶妙なバランス経営が出来たのも創業社長からバトンを継いだ山井さんの経営手腕によるところが大きいのでしょう。
まとめ
この著書は中小企業や個人事業の人は生かせないのでしょうか?
むしろ中小企業や個人事業の経営者だからこそ読んだほうが良い本だと言えます。
売上の大小ではなく本当にその事業に適した経営の方法で顧客との接点を作り顧客に「ファン」になってもらえるような事業。
「自適マーケティング」を行う事でオンリーワンのファンがたくさんいる「事業としての存在価値が高い」会社をつくる事が出来ます。